【この記事を読む前に】
原作:ルーツ 漫画:Piyoの『てーきゅう』
原作:ルーツ 漫画:桐沢十三の『うさかめ』
作:ルーツ『するめいか(漫画)』『するめいか(自作アニメ)』『ルーツビア』『自分がツインテールのかわいい女の子だと思い込んで今日の出来事を4コマにする(コミックス)』
その他、ルーツ氏がニコニコ動画にアップしている実況動画を閲覧し、ルーツ氏自身の人とナリにある程度理解があるとよりこの記事をお楽しみいただけます。
僕の記事は毎回前提が長くなりがちなので、早めに結論を話します。
顧問キャラが存在しない漫画、てーきゅうに顧問キャラは
『不要』
でした。
はい。
ブラウザバックしないでください。ここから解説が入ります。
【てーきゅう:顧問のいないテニス部】
ご存知の通り、亀井戸高校てーきゅう部に顧問は存在しません。実際に作中でもユリが顧問に関する質問をして、先輩組(アホ3人)ははぐらかしています。(てーきゅう4巻裏面②ルーツ描き下ろしマンガP135「うやむやになってること」参照)
それ以降は特に言及されることもなく最終回を迎えたのです。
今回の記事はその設定を考察しようというものではなく、原作者であるルーツ氏が何故顧問キャラを作らなかったかと、もしそのようなキャラがいた場合どのような展開が待っていたかを考察するといった、言わばたらればな記事です。
てーきゅうに限らず、あらゆる漫画は起承転結で成り立ちます。特にギャグ漫画は割り振られるページ数がバトル漫画等と比べて短いそうで(アーススターがどうなのかは知らないですが週刊少年ジャンプはそのようで)す。
実際、ドラゴンボールはギャグ漫画のページの割り振られ方のままバトル漫画に移行した…との噂もあります。
限られたページ数で起承転結を表現する為には
- なるべく少ないキャラ
- なるべく少ないセリフ
- なるべくわかりやすい展開
という設計が必要でしょう。
アニメ版のてーきゅうを観ると(かなり早口ではありますが)
- レギュラー+準レギュラー(+使い捨てゲスト)
- 回りくどいボケツッコミも少ない
- 支離滅裂ではあるが分かりやすい起承転結
と、前述した設計にかなり序盤の段階から当てはまっています。漫画版のてーきゅうはアニメほどではありませんが、前述の設計に当てはまっていることがよく分かります。
この条件のうちなるべく少なキャラに焦点を当ててみるとキャラクター数こそは多いですが(てーきゅう12巻100面P61先輩と300参照)そのほとんどが使い捨てキャラだということが分かります。(サチとかミッちょんに関してはてーきゅうのキャラですらねーだろ!)それでも充分に漫画が成り立つくらいレギュラー、準レギュラーのキャラクターや立場や役割が完成されているということです。そのレギュラー、準レギュラーキャラのほとんどは序盤に登場しています。後期のキャラはほとんど定着しないゲストキャラでした。(天王洲アイル?清澄白河?まあそうですね…)
この、準レギュラーの枠に顧問を作っておけばてーきゅうはまた違ったテンポを、展開を見せていたはずです。
ではどのような展開になるのか、ユリと同じようにツッコミか、それともかなえ達と悪ノリをするボケか、あるいはボケツッコミ双方こなす中立か…。
どのようなキャラクターが生み出され、話がどのように展開されるかは、ルーツ氏の漫画と本人の在り方を紐解く必要がありそうです。
【ルーツという男】
ルーツ氏は学生時代、テニス部に所属していました。当然顧問もいます。
学生時代の彼は練習の際に、顧問の車があるか否かで一喜一憂していたそうです。(うさかめ2巻あとぎゃき・おぶ・わごん うさかめにかん)まあ学生にはよくありがちなエピソードですね。
上記のエピソードから、というには少々弱いですが、ルーツ氏のテニス部の思い出の中にも顧問の印象があるということは確かなのです。
そしてそのルーツ氏がてーきゅうに顧問を登場させなかったこともまた確かな事実です。
そんな学生生活を送ったルーツ氏は北海道から上京します。
そしてある日、ニコニコ動画に自作のゲームを実況した動画を投稿します。所謂『黒歴史RPG』というやつです。
そもそも当時ゲーム実況というものはかなり革新的なコンテンツで、その上ルーツ氏は実況中に酒を呑むわツマミを食べるわでやりたい放題…。
つまりルーツ氏という男は自由な行動と酒が好きという人間なのです。流石に結婚し父になった今では当時の自由さは薄れてきましたが酒呑みは健在です。たこ焼き作る動画オモロなのでもっと投稿しろルーツ!
そんでもって、ルーツ氏は自身の性格を自己投影したキャラ(後述)を出しがちです。
つまりてーきゅうに顧問が出てくるとしたら、
〈ルーツ氏自身を少々自己投影したボケツッコミ双方こなす酒呑みキャラ〉
となります。
うさかめは当初てーきゅうの公式ライバルという宣伝文句で売り出されていました。
てーきゅうと大きく違うところは3つ、
- 3年生二人、2年生一人、1年生一人の構成
- それなりに真面目にテニスをする
- 顧問がいる
という点です。
何故それなりに真面目にテニスをする展開ができたのか、それは顧問がいて3年生がいた、という点が非常に大きいでしょう。
それ故か、うさかめのギャグはてーきゅうと比べると非常にマイルドで緩いものが多いです。
そんな漫画に出てくる顧問の芝草宇宙、彼女は兎亀高校テニス部4名に対して基本的にはツッコミ寄りの姿勢で接します。それも"あ先"とはちょっと違う感じの。教師として生徒を指導する立場にあるのでツッコミはある意味当然と言えるでしょう。
また、"芝セン"のボケ部分ですが、メインでボケるくるみやきな子とは違い大ボケはブチ込んできませんが、生徒に咎められる大人の悪い一面的なボケをかましてきます。
しかしながら"芝セン"、いや『うさかめ』自体はキレのあるギャグ漫画というわけではなくどっちかといえば日常系や部活系の漫画といった方が正しい気がします。(きな子の一部奇行には目を瞑ろう。)
『うさかめ』は『てーきゅう』をマイルドかつより部活モノにシフトした漫画であるので、
〈芝草宇宙のマイルドさを取っ払って特徴がより顕著になり登場する〉
のではないかと考えます。
【するめいか:酒呑みの薄、毒舌の八千穂】
では、マイルドさを取っ払ったキャラクターをルーツ氏はどのように生み出すのか…。
そのヒントは『するめいか』にあります。
『するめいか』は漫画家ルーツ氏の最初の漫画で、いまだに根強いファン(僕)が存在します。
するめいかはまだ子供もいなければ結婚もしていない、それどころか若さ全開の尖ったルーツ氏を見ることができる漫画です。
そんな尖りを象徴するキャラの1人が星野八千穂です。(つーかするめいかは尖ったキャラが多すぎるンだわ。)
彼女は小動物系の可愛らしい見た目に反して超毒舌かつ猟奇的な思考をしたギャップ萌え(?)な設定です。これはルーツの思考をかなり極端にして生まれたキャラクターではないかと思います。
尖りを象徴するキャラがもう1人、ルーツの内面を反映したであろう糸井薄です。
彼女は頭に矢が刺さっても死なない糸井楓の姉です。そして『するめいか』では珍しい成人済みの人物でもあるのです。それ故に彼女は酒呑みのメイドという設定があります。
独特な毒舌と酒呑み、この二つの要素はルーツ氏本人の自己投影と言うべきだと思います。
故に、
〈少々口の悪い酒好きキャラ〉
として設定されるのではないでしょうか。
【ルーツビア:酒ネタの開放】
ルーツ氏に酒ネタを描かせるとこうなりますよ、の一番分かりやすい例が『ルーツビア』です。
するめいかやてーきゅう、うさかめはあくまで高校生が主人公の漫画であり、ルーツ氏が大好きな酒に関する話はなかなか組み込みにくいネタです。
ルーツビアは成人済み、さらに言えば社会人のが主人公の漫画です。
この漫画ではいろんな場所で呑み会をしたりビール工場に見学へ行ったり一人で宅呑みしたりと、とにかく酒!酒!酒!です。おそらくルーツ氏は自分の好きな酒の話を描いている時が一番楽しかったのではないでしょうか。
こんなに酒ネタがポンポン出るということはてーきゅうを描いている間もずっと(本当は酒ネタが描きてえ〜)とか考えていたと思われます。
おそらく
〈てーきゅうに成人レギュラーキャラがいれば酒ネタができるぞ!〉
という発想になってもおかしくはありません。
(たのしいたのしいぼくらののみかいは成人でしたが大学生の設定なので、顧問という設定により近い社会人たちが主役のルーツビアを参照しました。)
【顧問がいたらこうだった】
この内容から、てーきゅうに顧問がいた場合どんなキャラクターだったかの想定を理由とともに完成させていきましょう。
→この辺りがレギュラーメンバーに混じれる最後のタイミングだったと思われます。(後述します)
→芝草宇宙や糸井薄など、ルーツ漫画の準レギュラーは酒を好む傾向がある。(自己投影)
→これは教師という立場上の距離感と、ユリとキャラクター性を被らせないための処置。
→これも教師という立場故のキャラクター性故のもの。大人にしかできない悪ノリを繰り広げられる。
→同じく女子高生が主役の『するめいか』や『うさかめ』でも酒呑みキャラのそういった回が描かれている。
【結局顧問は】
と、考察という名の妄想をしたわけですが。
ここまで書いたのに結局顧問は不要だったとはどういうことか。
→後輩であるユリの距離感とツッコミキャラが完成されていた。
→ちゃんと練習しろ〜、的な感じ。教師という立場の弊害でもある。
→うどん子やケーキ屋の店長など。また、その場限りのゲストキャラ(ユカタンや花菱花子など)でも話は充分に成り立つ。
→これ練習に役立ちそうだな〜、的な。
- 酒ネタは未成年、飲酒しない人からの共感を得にくい。
- 酒呑みのテンションは素面だと面白くない。
といった点でしょうか。
また、ルーツ氏が自由ではちゃめちゃな行動を好むという点においても、その自由さを狭めてしまう顧問は扱いにくかったのかもしれません。
そもそも、てーきゅう連載時に顧問を出すタイミングはあったのでしょうか?
その答えは近藤うどん子の姉、近藤アネンコフにあります。
彼女が登場したのは原作4巻33面の先輩とコンスタンティン。うどん子も姉として再登場(準レギュラー化?)したのは6巻43面先輩とスターリングラードです。全15巻あるうちの割と序盤ですね。使い捨てのキャラのはずがすでに準レギュラーであったうどん子の姉としてまさかの大出世です。
これから先に登場したキャラは大概使い捨てです。(うさかめ高校の面々は5巻で登場、準レギュラー扱いでもよいのではないでしょうか。また、高宮あやのはスピンオフで初登場しているのでゲストキャラってことで。)
原作3巻~5巻で準レギュラー化するキャラが大量に登場、アネンコフ登場の4巻で顧問がいないネタをやり、再登場の6巻のタイミングまでに顧問が出る雰囲気がなかったということは元から出すつもりがなかったのかもしれません。
とにかく、漫画家ルーツ氏と出版社の、特に編集担当はそのような想定をして、てーきゅうに顧問というポジションのキャラクターを登場させなかったのでしょう。
…いやぁ、アーススターそういうこと想定してたのかなぁ…?
何はともあれ、てーきゅうという漫画に顧問が登場することは最後までありませんでした。
しかしながら、登場すればそれはそれでてーきゅうの違った一面が見れたことでしょう。
キャラ人気も、王道キャラを外したがる僕のような逆張りオタクにはそれなりにありそうです。
特別読み切りで登場させてユリに「連載終わったいまさら出るのかよ!!!」とツッコミさせる展開も面白そうです。
ルーツ見とるか?
【最後に】
今回の記事は以上になります。
ここまでキモオタクの記事を閲覧いただきありがとうございました。てーきゅうは連載が終了し、アニメの続報もなく完全に停止してしまったコンテンツではありますが未だにコアなファンからの人気が根強い漫画になっています。
これを機に、ルーツ氏の他の漫画に興味を持ったりてーきゅうのブルーレイボックスに手を出してみたりしていただければファンの端くれとして嬉しい限りです。
最後に、どうしても書かせていただきたいことがあります。
アニメてーきゅう10期をやってくれ!!!!!!!頼む!!!!!!!!!!
おわり
押本ユリです てーきゅう9期のブルーレイは11月24日発売です テレビ未公開の映像特典も封入! う…私のパンツは特典に入りませんからまりも先輩! スマイラル・アニメーション
本当におわり